東京の伝統工芸 11-12



11. 江戸刷毛
     東京刷子工業協同組合 03−3622−5304
     130−0001 墨田区吾妻橋2−2−14

     平野ブラシ


刷毛は ものを塗るための道具として 大変古くから作られていました。 文献上、刷毛について記されているもっとも古いものは 平安時代に発行され そこには 漆を塗るためキビの毛が用いられ さらに麻の毛が用いられたことが記されています。

江戸時代中期の享保17年(1732)に発行された「万金 産業袋」には当時使用されていたいろいろな刷毛が図入りで 紹介されており、その中に「江戸刷毛」の名称が付されています。

今日、江戸刷毛として指定されているものには、 経師刷毛、染色刷毛、人形刷毛、漆刷毛、木版刷毛、白粉刷毛、 塗装刷毛の7種類です。

刷毛の命は毛先であり、 「ムラ塗りが出ない」「腰がある」ものが優良といわれ 素材となる毛は用途にあわせて、刷毛師の厳しい目で吟味されます。

現在使用している毛は、 人毛や馬、鹿、山羊などの獣毛や シュロなどの食物繊維が使われています。 クセや脂分のある毛は、職人の繊細な刷毛さばきに重大な影響を 与えるので毛先を整えるとともにクセ直しと脂分の除去が大切な 工程となっています。 このため、刷毛を作る沿う時間数の大半がこの工程に費やされます。

岩手県平泉町にある中尊寺金色堂が、 昭和30年に解体修理された際に長さ20.5cm、厚さ1.05cmという 大変貴重な漆刷毛が発見されました。

画像は 平野ブラシの平野さん 


12. 東京仏壇
     東京唐木仏壇工業協同組合 03−3620−1201
     120−0005 足立区綾瀬3−5−15

  
今日仏壇といえば、箱型の置仏壇を思い浮かべます。 しかし、本来は、寺院などで仏像を安置する台座のことを 指していました。 文字どおり「仏像を安置する壇」ということであり、 木のほか土や石でもつくられていました。 石製のものは、インドや中国の石窟のものを源流にして いたようです。 日本へ仏教が伝来したへのは、 飛鳥時代の538年(一説には552年)百済国の聖明王が 仏像及び経巻を献上したのが最初とされています。 同じく685年には、時の天武天皇が 「諸国に、家毎に、仏舎を作りてすなわち仏像及び経を おきて礼拝供養せよとのたまう」と記されています。 この宣旨(天皇のお言葉)が 次の奈良時代における 国分寺、国分尼寺の建立につながるともいわれます。

平安時代までは仏教はまだ貴族のものでありましたが 鎌倉時代になると仏教も、 貴族仏教から武家仏教へと変化していき、 法然、親鸞、日蓮などの布教により 庶民の間に広まっていきました。

徳川幕府は、幕府を頂点とした封建制確立のため、 仏教に対する保護と強化を進め、 過去帳の整備により寺院の力も大きくなり 都市には多くの寺院がたてられるようになりました。

東京仏壇は、元禄のはじめ、 江戸の指物師が、仕事の合間に桑や欅などの堅木材を使い、 独自の技術・技法によって比較的淡白で飾りの少ない 仏壇を作りだしたのが始まりとされています。 そして、仏壇に黒檀、紫檀などの唐木材を最初に使った人が、 江戸仏師で三代目安田松慶(しょうけい)(1840年ころ)だと いいつたえられています。

今、東京仏壇はこれらの技術を綿々と受け継ぎ、 その優美さは見るものを魅了し、 自然と頭を垂れずにはおられない不思議な荘厳さを備えています。



工 芸 品 名

 1. 村山大島紬  2. 東京染小紋  3. 本場黄八丈  4. 江戸木目込人形
 5. 東京銀器  6. 東京手描友禅  7. 多摩織  8. 東京くみひも
 9. 江戸漆器 10. 江戸鼈甲 11. 江戸刷毛 12. 東京仏壇
13. 江戸つまみ簪 14. 東京額縁 15. 江戸象牙 16. 江戸指物
17. 江戸簾 18. 江戸更紗 19. 東京本染ゆかた 20. 江戸和竿
21. 江戸衣裳着人形 22. 江戸切子 23. 江戸押絵羽子板 24. 江戸甲冑
25. 東京籐工芸 26. 東京桐箪笥 27. 江戸刺繍 28. 江戸木彫刻
29. 東京彫金 30. 東京打刃物 31. 江戸表具 32. 東京三味線
33. 江戸筆 34. 東京無地染 35. 東京琴 36. 江戸からかみ
37. 江戸木版画 38. 東京七宝 39. 東京硝子 40. 江戸手植ブラシ
41. 曲輪加工品 42. 足袋 43.. 江戸箒 44. 桶
45. 江戸独楽
(1番から 40番まで 東京都の指定 41番以降は未指定)
38-40は 平成13年度の指定 39の内容は準備中です


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