刷毛は ものを塗るための道具として 大変古くから作られていました。 文献上、刷毛について記されているもっとも古いものは
平安時代に発行され そこには 漆を塗るためキビの毛が用いられ さらに麻の毛が用いられたことが記されています。
江戸時代中期の享保17年(1732)に発行された「万金 産業袋」には当時使用されていたいろいろな刷毛が図入りで
紹介されており、その中に「江戸刷毛」の名称が付されています。
今日、江戸刷毛として指定されているものには、 経師刷毛、染色刷毛、人形刷毛、漆刷毛、木版刷毛、白粉刷毛、
塗装刷毛の7種類です。
刷毛の命は毛先であり、 「ムラ塗りが出ない」「腰がある」ものが優良といわれ
素材となる毛は用途にあわせて、刷毛師の厳しい目で吟味されます。
現在使用している毛は、 人毛や馬、鹿、山羊などの獣毛や シュロなどの食物繊維が使われています。
クセや脂分のある毛は、職人の繊細な刷毛さばきに重大な影響を 与えるので毛先を整えるとともにクセ直しと脂分の除去が大切な
工程となっています。 このため、刷毛を作る沿う時間数の大半がこの工程に費やされます。
岩手県平泉町にある中尊寺金色堂が、 昭和30年に解体修理された際に長さ20.5cm、厚さ1.05cmという
大変貴重な漆刷毛が発見されました。 |