東京の伝統工芸 29-30

29. 東京彫金

     日本彫金会 03−3381−9859
    166−0012 杉並区和田3−8−13

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金属工芸、とりわけ彫金の技法は古墳時代後期、
渡来工人によって伝えられました。
今も残る冠帽や飾沓などの装身具、馬具などを見ると、
この頃には毛彫や透彫などの
基本的技術が定着していたようです。

平安時代も終わりに近づき武士階級が台頭すると、
彫金は刀剣・甲冑・金具に装飾として
施されることが多くなりました。
室町時代に現れた後藤祐乗(ゆうじょう)は彫金中興の祖と呼ばれ、
格式を重んじる作風が”家彫”として後世に残っています。
江戸時代、太平の世が続くと刀剣は実用品から
意匠の面白さを競う鑑賞本位のものへと変化し、
この時期、多くの彫金職人が現れ、
精密な小型の彫刻製作の技術が完成しました。

後期には、公家出身の横谷宗a(よこやそうみん)が
墨絵の筆勢をそのまま鏨でひょうげんした片切(かたきり)彫刻の技法を生み出し、
その斬新な作風は、
宗a自身が武家よりも町民たちとの交わりを好み、
野にあって腕をふるったことから、
京都風の”家彫”に対して、”町彫”と呼ばれました。
これは刀剣ばかりではなく煙管や根付けにも用いられ、
新しい流行を生み出しました。

明治維新の廃刀令で彫金の仕事は少なくなりました。
しかし、従来の技術を応用して
新時代の生活に合った作品づくりに転換し、
政府の産業振興政策もあり、
ドイツ・ニュールンベルグ金工万国博覧会(1885)に
出品された作品は好評を博しました。

金属の加工方法は、大きく鍛金・鋳金・彫金に分けられますが
このうち彫金は金属加工の総仕上げともいえます。

江戸時代に生まれた”町彫”の技法を今に伝える東京彫金は、
鏨ひとつで丹念に彫り、様々な模様を描き出し、
さらに独特な着色方法とあいまって、
洗練された味わいを持つ作品が誕生します。

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30. 東京打刃物
     東京刃物工業協同組合 03−3841−3873
     111−0042 台東区寿2−4−8−206

   藤原 照康
「日本書紀」によると、わが国で鍛冶が行われるようになったのは
583年、敏達(びたつ)天皇(第30代 572−585年)の時代に
新羅から鍛冶工が招かれ、はがねの鍛冶法を習ったのが
始まりといわれます。

武士階級が台頭するにつれて刀剣職人が現れ、
技術も磨かれて、やがて、 軟らかい鉄で造り、
刃の部分にははがねをつけるという着鋼法によって、
ソフトでしかも切れ味の鋭い日本独特の刃物が生まれました。

1603年、徳川家康が江戸幕府を開くと
各地から商人や職人が江戸に移住し、
幕府の御用職人の中には、
鋳物師や打物鍛冶師の名前も記されています。

江戸の総合案内ともいうべき「江戸鹿子(えどかのこ)」には
刃物に関する鍛冶の記録があり、
地打のものを扱う出刃包丁屋があったこと、
刀鍛冶が本業のかたわら剃刀や包丁などの
刃物を作っていたことがわかります。

江戸時代も中期に入り太平の世が続くと、
刀鍛冶の技術を生かして、
日常生活に必要な道具や刃物の製作にたずさわる、
いわゆる町鍛冶に転向する者も出てきました。
さらに江戸幕府が崩壊し、
明治4年(1871年)に廃刀令が公布されると、
ほとんどの職人は刀剣から業務用、家庭用刃物づくりに
転業せざるをえなくなり、
彼らは文明開化とともに伝来した洋風刃物の製作にも取り組みました。

工 芸 品 名

 1. 村山大島紬  2. 東京染小紋  3. 本場黄八丈  4. 江戸木目込人形
 5. 東京銀器  6. 東京手描友禅  7. 多摩織  8. 東京くみひも
 9. 江戸漆器 10. 江戸鼈甲 11. 江戸刷毛 12. 東京仏壇
13. 江戸つまみ簪 14. 東京額縁 15. 江戸象牙 16. 江戸指物
17. 江戸簾 18. 江戸更紗 19. 東京本染ゆかた 20. 江戸和竿
21. 江戸衣裳着人形 22. 江戸切子 23. 江戸押絵羽子板 24. 江戸甲冑
25. 東京籐工芸 26. 東京桐箪笥 27. 江戸刺繍 28. 江戸木彫刻
29. 東京彫金 30. 東京打刃物 31. 江戸表具 32. 東京三味線
33. 江戸筆 34. 東京無地染 35. 東京琴 36. 江戸からかみ
37. 江戸木版画 38. 東京七宝 39. 東京硝子 40. 江戸手植ブラシ
41. 曲輪加工品 42. 足袋 43.. 江戸箒 44. 桶
45. 江戸独楽
(1番から 40番まで 東京都の指定 41番以降は未指定)
38-40は 平成13年度の指定 39の内容は準備中です


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