東京の伝統工芸 31-32



31.江戸表具
     東京表具経師内装文化協会 03−3261−1037
     102−0083 千代田区麹町3−4
中国・唐の時代に生まれたといわれる表具が、
遣唐使などの手により日本にもたらされて千年余り、
生活用式や建築様式の移り変わりとともに、
室町から桃山、江戸時代にかけての茶道の隆盛とも
深く関わりながら磨かれ、わが国独特のものとなってきました。

表具の技術は、
まず神社や寺が集中する京都で発達しました。
経典・仏画などの表装に対する需要が多かったためでしょう。
当時、職人は一般に経師と呼ばれていたようで、
時代を経るにつれて仕事の内容も多様になり、
江戸時代には私たちが目にする掛軸、屏風、襖なども扱うようになり
経師と表具師の区別はなくなってきました。

元禄期(1688−1704)には、
大名の江戸屋敷増築にともなってお抱え職人が江戸に出てきて定着したこと、
町人文化が花開き、
書画が一般書民にも身近なものになったことなどを背景に、
江戸表具がさかんになりました。

明治に入ると状況は一転、
伝統破壊の風潮の中で表具は低迷し、
大正から昭和にかけて需要は増えたものの、
戦後、業界は再び打撃を受け、
現在は、あらたな道を模索しつつあるところです。

材料は各種の和紙、裂地等、水、糊と単純ですが、
それだけに細やかな紙の扱いや刷毛さばきには
永年の修練が必要。
”水と刷毛による芸術”と呼ばれるゆえんです。

名人・上手の記録に残る名前はたいへん少なく、
表具師はあくまで舞台裏に徹していたことがうかがえるのです。



32. 東京三味線
     東京邦楽器商工業組合 03−3668−5100
     103−0013 中央区日本橋人形町2−24−5
日本の三味線の祖は、中国の三弦にあります。
三弦は中国の元におこり、
14世紀末には琉球国に伝わり
蛇皮を用いたので蛇皮線と呼ばれました。
わが国に初めて三弦が琉球から伝えられたのは、
室町時代末期永禄年間(1558-70年頃)のことで
境野港に初めて入ってきたと考えられています。
当時琵琶法師が蛇皮線を用いて
小唄や踊歌などにあわせて弾いている間に
蛇皮が破れたので、他の動物をいろいろと試み、
ついに猫皮を用いることを考え出したのです。
かくして琵琶の撥で演奏するという
わが国独特の三味線が出来上がったのです。

江戸での発達は、寛永の頃に神田治光や石村近江のような名匠が現れ、
現在の三味線音楽の基礎ができあがり
歌舞伎の長唄や、義太夫、一中、常盤津、清元、新内の
邦楽の発達とともに三味線作りも発達したのです。

三味線には独特の「サワリ」という
余韻(響き)を残す現象があります。
「サワリ」の音楽的効果には日本人の民族性が関係しています。
原色よりも中間色を好む日本人は
原色よりも複雑な倍音(オーバートーン)を含む音を好むようです。

伝統的に使用されてきた原材料で
棹の部分には紅木(インド産)、紫檀、樫、花櫚、桑などが使われます。

皮張りには猫や犬の皮が使われます。



工 芸 品 名

 1. 村山大島紬  2. 東京染小紋  3. 本場黄八丈  4. 江戸木目込人形
 5. 東京銀器  6. 東京手描友禅  7. 多摩織  8. 東京くみひも
 9. 江戸漆器 10. 江戸鼈甲 11. 江戸刷毛 12. 東京仏壇
13. 江戸つまみ簪 14. 東京額縁 15. 江戸象牙 16. 江戸指物
17. 江戸簾 18. 江戸更紗 19. 東京本染ゆかた 20. 江戸和竿
21. 江戸衣裳着人形 22. 江戸切子 23. 江戸押絵羽子板 24. 江戸甲冑
25. 東京籐工芸 26. 東京桐箪笥 27. 江戸刺繍 28. 江戸木彫刻
29. 東京彫金 30. 東京打刃物 31. 江戸表具 32. 東京三味線
33. 江戸筆 34. 東京無地染 35. 東京琴 36. 江戸からかみ
37. 江戸木版画 38. 東京七宝 39. 東京硝子 40. 江戸手植ブラシ
41. 曲輪加工品 42. 足袋 43.. 江戸箒 44. 桶
45. 江戸独楽
(1番から 40番まで 東京都の指定 41番以降は未指定)
38-40は 平成13年度の指定 39の内容は準備中です


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